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初めて読む中国のSF<「三体」2006> [oz日記]

中国の書籍できちんと読んだことがあるものは少ないです。

学生時代ならば、論語、孫子、杜甫や李白の漢詩には触れたことがあっても、三国志や毛沢東語録などは見たことがある程度です。論語や孫子、三国志などは日本語訳で学んだという方が正確でしょう。

中国語が読めないというのが最大の理由ですが、特に天安門事件以降、中国から出てくる文章は反政府か、政府の公式発表かという2分類しかないと感じてきたことがあるかもしれません。

中国の作家と言うと反政府の主張を持った人たちで、弾圧されたり投獄されたりというイメージもありました。

香港返還直前に香港を訪れた時の現地の人々の不安感がひしひしと伝わってきたのを覚えています。


正直なところ自分の認識が古いとは思います。今の職場に中国出身の方(*)もいて、価値観もいろいろあるのは分かりますが、根本には政府の力が強く、一部の恵まれた人々を除いては自由が制限された社会とのイメージは完全に払しょくできません。
  *…一家で香港を脱出した同僚もいます。

電気や下水道が整備されてない地域がある半面、自転車の大群が消えていきなり車社会になった北京みたいな地域があります。資本主義が力強く成長している上海と市民運動が活発な香港などを見ると、やはり不安視してしまいます。

そうした中、中国の作家がSF小説を連載していて、海外の賞も受賞したとなると、大いに注目する「事件」ともいえます。


Cixin Liu(劉慈欣)の本作は、中国のSF雑誌《科幻世界》に連載され、2008年に単行本として刊行されました。中国全土のみならず世界的にも評価され、2015年、翻訳書(Ken Liu訳)として、またアジア人作家として初めてSF最大の賞であるヒューゴー賞を受賞しています。

訳者Ken Liu自身も作家であることから、彼の翻訳のうまさも受賞に一役買ったことは間違いないでしょう。中国出身の知人も「訳が良かったから外国(英語圏)での評価がさらに高まったと思う」と言っていました。

バラク・オバマ第44代米国大統領も自身が読んでスケール感に感心した旨を言及しています。

感想などは読後に、「本棚」コーナーに掲載する予定です。
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2020/06/26<曇時々雨>
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