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ベルリンの壁、そして東ドイツ情報部<「寒い国から帰ってきたスパイ」1963> [本棚]

ジョン・ル・カレの3つ目の小説『寒い国から帰ってきたスパイ』(1963)はスパイ小説の金字塔とされています。

リアリティを追及している分、派手なアクションは少なく(なく?)、細かいやり取りを追っていくのは、通常のスパイ物に慣れている人には退屈でしょう。特に東ドイツ内での情報部による裁判の場面は、手に汗を握って行方を見守るというよりも、心理戦や応酬を見守るしかない状況が続きます。

しかし、軍事アナリストが細かなデータを丹念に分析して、何が起こっているのか、全体像を組み立てるのと同様に、ル・カレの小説では細かな描写を重ねながら着実に事件解決に向かっていきます。

ちょっと不思議なのは、この時点で既に伝説の情報部員ジョージ・スマイリーが退職していることです。ということは、彼が実際に活躍したのは、冷戦前の第二次世界大戦中ということか。

因みに、私が個人的に好きなのは『誰よりも狙われた男(A Most Wanted Man)』(2008)

さて、次は『スパイたちの遺産』です。

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<本のデータ>
ISBN 978-4-15-040174-0
寒い国から帰ってきたスパイ (1978/05/01)
ジョン・ル・カレ(著)宇野利泰(訳)ハヤカワ文庫

内容(アマゾンの書籍紹介より)
ベルリンの壁を境に展開される英独諜報部の熾烈な暗闘を息づまる筆致で描破! 作者自身情報部員ではないかと疑われたほどのリアルな描写と、結末の見事などんでん返しとによってグレアム・グリーンに絶賛され、英国推理作家協会賞、アメリカ探偵作家クラブ賞両賞を獲得したスパイ小説の金字塔!

2020/06/25<曇時々雨>
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