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極限の国際金融か?<「国家とハイエナ」2019> [本棚]

借金が払えないなら破たんしたと言われます。国家は破たんはしないものの、これ以上借金ができなくなります。しかし、国家は存続します。

支払い不能に陥った債券を非常に安く買い集め、発行国に満額で払うよう請求するのがハゲタカファンド(この作品では「ハイエナ・ファンド」と呼ぶ)で、この作品の一方の主役です。

もう一方は支払いに応じない腐敗した国家であり、汚職にまみれた国家のリーダーたち。

影響を受ける国の国民を救う使命を持って取り組んでいるNGOも一枚噛んでいます。

債券額面1ドルに対し、30セントでこれらの債券を購入し、満額の支払いを受けられるなら、単純に3.33倍のリターンであり、投資額30セントに対し、70セントの儲けとなります。

元本のみならず、延滞金も(金利支払いを含めて)支払うよう要求することもありますが、その場合は、例えば購入価格30セントに対し、15倍の4.50ドルの支払いを要求するようなケースです。

もちろん、延滞期間が15年だったりしますので、延滞金だけでも相当になってしまうのは仕方がないとも言えます。何年も借金を払わずにいたわけですから、延滞金もずっと積みあがります。

圧巻なのは、支払いを促すためにタンカーごと輸出用の原油を差し押さえたり、ナショナルフラッグ(国営航空会社)の機体を差し押さえるなど、びっくりするような方法を取ることです。

国際金融の暗部を知りたいなら読んでみる価値があります。

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<本のデータ>
ISBN 978-4-344-42903-1
ISBN 978-4-344-42092-4
「国家とハイエナ」(上・下)(2019/10/10)
黒木亮(著)幻冬舎

内容(amazon内容紹介より)
破綻国家の国債を二束三文で買い叩き、欧米で訴訟を起こし、勝訴判決を受けるや、その国のタンカーや外貨準備、はては人工衛星まで差し押さえ、投資額の十倍、二十倍のリターンをむしり取る「ハイエナ・ファンド」。日本ではほとんど報道されていないその実態や欲望渦巻く国際金融市場の苛烈な闘いを、綿密な取材をもとに描ききった話題作!

2020/01/03<晴>
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