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壮絶な現実<「無戸籍の日本人」2018> [本棚]

ある個人に戸籍がないことにより、どんなことが起こるのか、想像したことがありますか?

あまりにも当たり前になっていることがないことを想像するのはほぼ不可能です。

え、そんなことがあり得るのか?と思い知らされる内容です。

この本には興味があって、少し前に購入して手元にあったのですが、なかなか読む時間がなかったのと、実際読むのが少し怖かったのです。


米国にいた時に似たような経験としては、ソーシャルセキュリティナンバー(SSN、日本でいう「マイナンバー」)がない状態がありました。

日本では住民票があれば、ほとんどのことができます。

米国には住民票というものがありません。戸籍制度そのものがありませんので、住民票というものもありません。

生まれた時に付番されるSSNがあれば、銀行口座を開くことができます。運転免許も取得できます。納税もできます。米国民ならば出生証明書(病院で発行)を持ってソーシャルセキュリティオフィスに行きます。

何十年か前から、子供が生まれたら即時に病院が同オフィスに書類を送ってSSNを取ってくれます。下手をしたら病院から退院する前にSSNが本人のところに届きます。

外国人ならば、移住したら一番先にこのSSNをもらいに行きます。入国を証明できる書類を提示します。


米国ではホームスクーリングと言って、自宅で親が勉強を教えてもいいと認めている州がほとんどです。学校に行かなくてもいいのです。その後の教育というについては親と本人が責任を持つことになりますが。

ところが日本では学校に行かないと勉強の面では大きなハンデを追うことになります。卒業証書がないと次の段階の教育が受けらえません。中学校を卒業していないと高等学校には行けません。高校を卒業していないと大学には行けません(大検という道がありますが)。

本書に取り上げられている方々の苦労を思うと、いかに「普通に生活していること」が日本においてすごいことなのか、考えさせられます。すべてのことが明治時代に定められた「家」を中心とする制度に縛られているかを思い知らされます。

978-4087456929.JPG
<本のデータ>
ISBN 978-4087456929
無戸籍の日本人 (集英社文庫) (2018/01/19)
井戸まさえ(著)集英社

内容(「BOOK」データベースより)
無戸籍の日本人、1万人以上。「偽装ランドセル」で通学しているふりをしていた冬美。生まれて以来、「家」というものに住んだことがない明。身分証明書無しでも就ける仕事を掛け持ちしてきたヒロミ。あまりに過酷で不条理な無戸籍者の現実。なぜ無戸籍になるのか?なぜこの状況は改善されないのか?制度上は「存在しない」彼らに光を当て、この国が抱える歪みに迫る衝撃のノンフィクション。

2020/03/19<晴>
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